彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)





「も、申し訳ありません!天下のシルバー社の社長のゲストなので、てっきり成人した方だと思っておりましたので!」
「先入観は捨てろ、成島。あと、ゲストへのイヤミもな。」
「誤解です!嫌味を申し上げた覚えは―――――――」
「他人の俺がイヤミと判断できたんだ。いじめはいじめを受けたもんがそう思えばいじめになるのと同じなんだよ。俺のゲストに謝れ!」
「っ・・・も、申し訳ありませんでした。」





ヘルメットマンさんの言葉で、渋々勘満載で謝る成島。
そういう謝罪なら欲しくないが、社交辞令で私も言った。





「いえ、お気になさらないで下さい。僕は気にしてませんし、嫌味には感じませんでしたので。」
「チッ!ガキの方が大人かよ!」
「はっはっはっ!躾の行き届いたお子さんですね、坊ちゃま。」
「さすがじいやだな。礼儀だけは、正しいんだコイツは。」





老紳士の言葉に同意するヘルメットマンさん。





(じいやと呼んだということは・・・身の回りのお世話をする人なのかな?)





チラッと老紳士を見れば目が合う。
こちらは自然に優しく微笑まれる。
だから気持ちよく会釈をすることが出来た。
そうしているうちに、エレベーターが私達の前まで到着する。
真っ先になる島が乗り込んで、開くボタンを押し続ける。
ヘルメットマンさんが乗り込み、私もその後を追う。
最後にじいやと呼ばれた老紳士さんが乗り込んだところで、エレベーターの扉は閉ざされ、上昇を始める。





「わあ・・・」





ガラス張りのエレベーターは、内外の景色がみれる仕組みになっていた。
立地が良いこともあり、外の景色は壮観だった。





「きれい・・・」





眺めていれば、いつの間にか隣に移動してきた老紳士が解説してくれた。





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