彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「・・・わかった!!凛道蓮君が来てくれるのならば―――――君達2人の同行も許可しよう・・・!!」
「うははは!やったー!」
「当然だろう!?」
「い、いいのですか?」
「そうしないと、ついて来てくれないんだろう?」
私の質問に、苦笑いしながら答える口ひげ。
「向こうに車を待たせてる。それに乗ってくれ。」
「わかりました。じゃあ、戸締りをしてきますので――――――」
「うははは!わしトイレ!大事な話の盛り上がり場面で、トイレ行きたくなっても困るからのぉー!」
「だったら俺もトイレに行く!!大事な場面を聞き逃せるか!!」
「それじゃあ僕も、トイレに――――――――」
「俺が案内する場所にもトイレはあるよ!!?早くしてくれ凛道蓮君!!」
こうして、自称・真田瑞希様の父親だと名乗る人について行くことになった私とヤマト雷太。
ヤマトと雷太がトイレに行っている間に戸締りをして、ガレージのボードに外出の書き込みをする。
遊びに行くと書き込んだのは、相手が私に恨みを持っていて、瑞希お兄ちゃんの身内と名乗っておびき出している可能性があったからである。
(でも、もし、本当に父親だったら――――――――――――――――なぜ、瑞希お兄ちゃんじゃなくて、私に会いに来たの?)
疑問が解決できないまま、私もトイレを済ませ、お店の出入り口を閉め、裏門から表に出る。
先に外で待っていたヤマトと雷太と共に、口ひげが待たせているという車の方へ行く。
(ロールスロイスだ・・・!)
運転席には、白手袋をはめ、スーツ姿の、いかにも専属の運転手のような人が座っていた。
その隣の助手席に、口ひげは座り、私達三人は後部座席に座った。
ふわふわの乗り心地だったが、身体はガチガチに緊張していた。
(本当に・・・好きな人のお父さんかもしれない人か・・・・・・・・・!)
口ひげの合図で、車は軽やかに動き始める。
ミラー越しにウィンクされ、戸惑いつつも会釈で返す。
本物か偽物か、半信半疑のまま、私は仲間と共に、自称・真田瑞希様の父親について行ったのだった。