彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「オメーは、しつけが身についてんのな。」
「え?普通だと思いますが?」
「育ちがいいな。」
「い、いえ!ごく普通の普通の家庭ですよ!?」
「そうかよ。」
ヘルメットマンさんの問いかけに、四苦八苦していれば、ヘルメットマンさんがある部屋の前で止まる。
立派で大きな扉。
すかさず、老紳士の成島さんがカードキーを取り出してスキャンする。
それでロックが解除され、秘書の成島さんが扉を開けた。
「入れ、凛道蓮。」
「お、お邪魔します・・・!」
ヘルメットマンさんの後に続く形で室内に入る。
(きゃあ~すごーい!豪華っ!!)
室内は、キレイに片付いており、高級家具に囲まれていた。
天井を見上げれば、シャンデリアがぶら下がっている。
あれ、掃除するのが大変じゃないかな?
「座れ、凛道蓮。」
「え!?は、はい!失礼します。」
室内にある4人掛けの大きなテーブルとソファーがあり、そのソファー席を勧められて腰を下ろした。
一方のヘルメットマンさんは、窓ガラスで外が見える状態になっている室内の奥・・・巨大な机と座り心地がよさそうな椅子の側へ出立ち止まっていた。
コンコン!
ふいに、ドアがノックされる。
「入れろ。」
「はい、社長。」
ヘルメットマンさんの指示で、秘書がドアを開ければ、さっきの美人の1人が、お盆を持って立っていた。
「失礼致します。お茶菓子をご用意いたしました。」
「そっちのテーブルに置いてくれ。」
「かしこまりました。」
ヘルメットマンさんに会釈すると、私の方まで来て、私の前にジュースとお菓子を置いてくれた。
「オレンジジュースとゴディバのチョコレート菓子でございます。」
「あ、お気遣い、ありがとうございます。」
「とんでもございません。社長には、いつものブラックコーヒーをお持ちしました。」
「おう。下がっていいぞ。」
「はい。失礼を致しました。」
美人のお姉さんは、深々とヘルメットマンさんに頭を下げると、お盆を小脇に抱えて退出していった。
部屋には、私を含めて4人だけが残された。
最初に口火を切ったのは、ヘルメットマンさんだった。