彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「そうか、わかった!『ごじゅうあらし』君だね!?しっかり覚えたぞ!!」
「うははは!凛の大親友やから、しっかりインプットしてやー!!」
「何が大親友だよ!!俺は凛先輩という公式が認めた弟分だぞ!?」
「えーと、君の名前は・・・」
「俺は神楽坂雷太!!凛先輩の唯一の後輩で弟分だ!!覚えとけよ、おっさん!!」
「ずいぶん、強そうな弟分がいるんだな、凛道蓮君?」
「強そうではなく、強いですよ、雷太は。」
「マジすか、凛先輩!!凛先輩に褒められて、俺嬉しいっす♪」
「ちょ、雷太!人前でやめなさい。」
「エへへへ♪」
そう言いながら抱き着いてくる雷太を、物理的にも心情的にも重いと感じる。
「神楽坂君をよく飼いならしてるね、凛道蓮君。まるで大型犬の子犬のようだ。」
「うははは!当然ですわー!この子12歳やからー!」
「じゅ、12歳!!?これで!!?」
ギョッとする口ひげに、私に抱き着いて状態でメンチをきる雷太。
「なんだよおっさん!?ガキだと思ってバカにしてんのかコラ!!?」
「いやいや!てっきり、高校生だと――――――――・・・・・さ、最近の子は、発育がいいな・・・!」
フーとため息をつくと、おしぼりで額をふく口ひげ。
その姿を見ながら、まとめるように私は言った。
「ということで、そんな大親友と弟分を持つ僕が、凛道蓮です。どうぞ、よろしくお願い致します。」
「あ、ああ!よろしくね!」
「ここまでで、僕らは自分の身分を名乗りましたが、あなたはいつまで名乗らない気ですか?相手の情報だけ奪って、自分は言わないで済ませる気ですか?」
「そ、そんなつもりはない!ちゃんと、自己紹介する!!」
そう言って咳払いすると、おつきの人らしい人にネクタイを直してもらってから、口ひげ男は告げる。