彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)







「申し遅れたが、俺は『檜扇二三人(ひおうぎ ふみひと)』と言う。」
「檜扇(ひおうぎ)?」

(え?苗字は『真田』じゃないの?)

「苗字違うじゃんか!」
「うははは!1文字もあってないやんかー!?」







同じことを持っていた雷太とヤマトが口にすれば、檜扇(ひおうぎ)さんは答えてくれた。







「『真田』は、瑞希の母親の苗字だ。瑞希は母親の姓を名乗ってるんだ。」
「そうですか・・・。」

(苗字が違うということは、離婚してるってことか・・・)

「凛先輩、真田さん、離婚してたんすね!?」
「うははは!おかんの方について行ったっちゅーことは、このオトンは嫌われとるんとちゃうかー!?瑞希はんの敵ちゃうかー!?」
「つまり、信用しない方がいいっすよ、凛先輩!!」
「うん、そうですね。マイナス印象にします。」
「ちょ!?外野がなんてこと言うんだ!!?凛道君と2人でしゃべりたいから、スイーツとドリンクを飲み食いしててくれ!!」







そう言って、檜扇(ひおうぎ)さんが手を叩けば、給仕(きゅうじ)スタッフらしい人達がやってきて、スイーツがぎっしり詰まった3段のケーキスタンドを置いていく。
その余りの量に、ホントに話の邪魔をされたくないのだと思う私。





「ヤマト、雷太、すまないけど、しばらくしゃべらないで下さい。」
「う・・・凛先輩がそう言うなら従います!」
「うははははーい!飲み食いしとるわ!いただきまーす!」





私の頼みに同意の返事をすると、雷太は恐る恐る、ヤマトは遠慮なく、飲み食いを始める。
それにため息をつく檜扇(ひおうぎ)さん。







「やっと、凛道蓮君と話が出来そうだ!」
「事前にアポイントを取って下されば、もっとスムーズだったんですけどね。」
「ぐっ!本当に君は、ヤンキーらしくない子だな!?」
「よく言われます。それで?大事な話とは何ですか?」
「そ・・・それが――――――――――――――――――・・・・・・・・・!」







私の質問に、相手のテンションが下がる。






「どうされました?」
「じ、実は・・・!」






ただならぬ感覚を覚えたので優しめに聞けば、私を見ながら叫んだ。







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