彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「瑞希お兄ちゃんのおばあさまは、どちらの病院へ入院されているのですか?」
「ち、千葉!!『千葉総合医療病院』に入院してる!!!」
「千葉総合医療病院ですか・・・・・」
(国立の病院でもお手上げとなると、相当ヤバいってことか・・・)
「うははは!どないする、凛!!口ひげはんのお願い聞いたるんかー!?」
「聞くべきすっよ、凛先輩!!」
「雷太?」
「死にかけてるなら―――――いつ死んでもおかしくないから、会わせてあげるべきっすよ!!毎日、真田さんを思って泣き暮らしてるんすよ!?」
「うははは!そこはわしも賛成や!けどなぁ~瑞希はんのオトンが、ちょっとうんさんくさいから、背中押すまでは出来へんのよなぁ~!?」
「なっ!!?お、おおお、俺のどこがうんさんくさいんだ!!?」
「あの真田瑞希はんが、会うのも拒むほど嫌ってるんやでー!?その点をよく考えた方がいいで、凛!?」
「うん・・・そこが、引っかかってる。」
瑞希お兄ちゃんは、どこまで自分のおばあさんの病状を把握してるか、だ。
知らないようだったら、伝えた方がいい。
でも、もし、知っていて会わない選択をしているなら―――――――
(野暮なことはできない。)
「凛先輩!!俺、このオヤジ嫌いっす!!」
「なっ!?急になに言い出すんだ、神楽坂君!?」
「そうだよ、雷太。僕も、好意的には見てないけど。」
「そう思ってたのか、凛道蓮君!!?」
「うははは!わしもいけすかんと思ってるぅー!」
「俺嫌われてるのかー!?」
「そーだよ!!つまんで聞いた話だけでも、真田さんに不義理してる!だから、あたんたみたいなやつが困ってても、凛先輩が助ける義理はねぇ!!だけど!だけど―――――――ばあちゃんが、死にかけてて、毎日真田さんを思って泣き暮らしてるって聞いたら――――――・・・・!!」
「雷太?」
スイーツスプーンを投げ出すと、私に抱き着きながら雷太は言った。