彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「祖母と孫の感動の対面を、実現させてやってください、凛先輩!!」
「雷太。」
「俺にもばあちゃんがいるから、もし同じ状態になったらと思うと―――――――何も知らないで、見舞いの一つもできない真田さんが、かわいそうすぎるっ!!」
「!!?」
(瑞希お兄ちゃんがかわいそう――――――――――!!?)
そうだよ。
瑞希お兄ちゃん、この状況知らないで、死に別れることになったら、優しい人だからきっと悲しむ。
深く傷つくだろうし、とっても後悔もすると思う。
それを思えば――――――――なにも、迷うことはない!!
「わかりました。瑞希お兄ちゃんに、おばあ様のお見舞いに行くようにお願いをしてみます。」
「本当かっ!!?やったぁ――――――――!!!」
私の言葉に檜扇(ひおうぎ)さんは顔を上げると、私の手を掴んで立ち上がり、踊り始める。
「やったー!やったー!瑞希が母さんに会いに来てくれる!!瑞希が来てくれる!!」
「ちょ、ちょっと檜扇(ひおうぎ)さん!?」
雷太付きで一緒に踊らされ、ステップダンスをする羽目になった私達。
「うははは!おもろそー!わしもまぜてー!」
そう言いながら、食べるのをやめて踊る方に参加するヤマト。
「瑞希が来る!会いに来る!瑞希が母さんに会いに来るー!」
「あ、あの、檜扇さん!!必ず、お見舞いに行ってもらえるという明確な約束はできませんよ!!?僕が言ってダメだったら、諦めて下さいね!!?」
「ありがとうございます、凛道蓮君!!君のおかげで、母と瑞希を引き合わすことが出来る!!」
「いやいや!人の話聞いてますか!!?瑞希お兄ちゃんがお見舞いに来れない可能性もあるのですよ!!?」
「ははは!その時は、君がお見舞いにきてくれよ、凛道蓮君!!」
「はあ!?なぜ、僕が??」
無関係の私にお見舞いの指名をしてくる瑞希お兄ちゃんのお父様。