彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)







「瑞希お兄ちゃんが行かないと、意味がないでしょう!?」
「いやいや、君でもいいんだよ!!ああ、よかった!!いい気分だ!!これで母に良い報告が出来る!!今日は母さんの笑顔が見れる!!嬉しいな!!嬉しいなー!!」
「・・・。」







子供のようにはしゃぐ姿に疑問がわく。







(私がお見舞い客でもいいってどういうこと?)

「あの!お見舞いに僕が行くのは――――――――」
「母さんが瑞希に会える!!瑞希と母さんが会える!!わーい!わーい♪」
「・・・!」







こちらの質問に答えない・・・というよりも、全く聞こえていない瑞希お兄ちゃんのお父様に、私は何も言えなくなってしまった。
わかったことと言えば、瑞希お兄ちゃんの祖母にあたる人が、瑞希お兄ちゃんに会いたがっているということ。
2人を会わせる手段として、私が、『凛道蓮』が関わることになったということ。





「うははは!よかったのぉー凛!あんなに喜んでもらえて!責任重大やけど、瑞希はんなら凛にメロメロやから、大丈夫やろうー!」
「そうっすよ!これでおばあさんも大喜びっすね!?」
「・・・そうだね・・・。」





引っかかることはあったが―――――ヤマトと雷太に言われたこともあって、あまり考えないことにした。







(瑞希お兄ちゃんとおばあさんの再会が実現すれば、瑞希お兄ちゃんにとっても良いことになる。)







金銭面で放置していたらしい父親が責任を取るだけでなく、今後はバリスタになるためのバックアップをしてくれるというのだ。







(瑞希お兄ちゃんの幸せが、私の幸せ!!)







だからなにがなんでも、このミッションを成功させようと――――――――ヤマトと雷太と檜扇(ひおうぎ)さんと輪になって踊りながら、強く決意するのだった。









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