彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「母さんは、母は、凛道蓮君にも会いたがってるんだよ!」
「え!?なんで僕のことを知ってるのですか!?」
「知ってるとも!可愛い孫の瑞希が溺愛してる弟を、知らないはずないじゃないか!!」
「で、溺愛してるなんて、そんなぁ~♪」
「母は瑞希と会えなかった時間を埋めるのに、凛道蓮君の協力も必要としてるんだ!!どうか、老い先短い年寄りの願いを、かなえてもらえないだろうか!?」
「そ、それは~僕なんかでお役に立てるようでしたら~」
「引き受けてくれるんだね!?」
「・・・はい。」
「ありがとう!!ありがとうございます、凛道蓮君!!」
嬉しそうに言うと、私の両手を握って、上下にブンブンと振る檜扇(ひおうぎ)さん。
こうして、連絡先の交換だけでなく、翌日のお見舞いの件まで約束した私。
(急展開過ぎないかなー??)
そうは思ったけど、いつ死ぬかわからないとなれば、急ぐのも当然かもしれないと思う。
帰りの車の中では、たわいない話で盛り上がる。
フェリチータの近くまで来たところで、私達を乗せた車は止まり、そこでお別れとなった。
「凛道蓮君、よろしく頼むね!!?君に、我が家の未来がかかってるからね!?」
「わ、わかりました!善処します!」
「ありがとう!!ひとまず、また明日ね!!」
高級車の窓から身を乗り出し、私達に何度も手を振りながら走り去っていく檜扇(ひおうぎ)さんを乗せたロールスロイス。
3人人だけになったところで私は言った。
「じゃあ、帰りましょうか。」
「押忍!凛せ――――――――!!」
「うははは!ちょい待ち!!」
雷太の言葉をヤマトがさえぎる。