彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「ははは!大事なのは割合じゃなくて、大人しくお家に帰ってくれるかどうかだぜ!今夜は、取り締まりはもちろんだが、龍星軍を漢字プリントにした効果がどこまで出るか、チョコちゃんとサナちゃんで確かめさせてくれ!!」
こうして、夏の見回りの結果をもとに大原会長さんは、今回、私が着る見回り組のスカジャンの背中に刺繍する『Ryuseigun(龍星軍)』の文字を、目立つようにと漢字に変えたのでした。
「白地に赤の文字、紅白になってて、めでてぇよな、チョコちゃん!?」
「そ、そうですか・・・。」
ははは!と笑うおじいさんに相づちを打った後で、コソッと瑞希お兄ちゃんにお聞きする。
「瑞希お兄ちゃんは、龍星軍がこういう使われ方をしてもいいのですか・・・?」
「別にいいぜ。ヤンキーしてた時、商店街には迷惑かけた件があるからよぉー」
(どんな迷惑かけたんだろう・・・)
気になるけど、怖くて聞けない。
〔★凛は質問を諦めた★〕
「夜回り組に龍星軍がいるとわかっただけで、素直に家に帰ってくれる子や、悪さをやめてくれる子が増えて助かってるよ!ありがとな!」
「よくいいますね、会長。そうなるとわかってて、龍星軍のメンバーの俺らを仲間に引き入れて、背中に龍星軍の看板を背負わせてるんじゃないすか?」
「ははは!マイルドヤンキー対策なんだよ!家出や家に居場所がなくてうろうろしてる子は、サナちゃんが紹介してくれたNPO法人の『夜回りグループミライ』さんが引き受けてくれるから、うちの町内で悩める子供も減って大助かりだよ!チョコちゃん、紹介してくれてありがとな!!」
「いえ、僕は大したことはしてません。」
ガラの多い人と同じぐらい、夜の商店街には座り込んでいる少年少女が多くいると聞き、瑠華さんに相談したのがきっかけでした。
瑠華さんから代表である渡瀬さんに話が行き、渡瀬さんが大原会長さんとコンタクトをとったことで、連携することが決まったのでした。