彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「瑞希お兄ちゃん。」
「どうした、凛?」
スマホを見るのをやめ、私の方を見て下さる好きなお方。
その心遣いに胸キュン!しながらも、言葉を選びながら聞いた。
「瑞希お兄ちゃんのお母さんとおばあちゃんって、仲は良いですか?」
「あん?」
低い声に、不機嫌そうな表情。
(地雷踏んだか!?)
内心冷や汗をかきつつも、笑顔をキープし続ける私。
「・・・なんでそんなこと聞くんだよ?」
「ちょ、ちょっと、困ったことがありまして~・・・」
「困りごと?」
そう瑞希お兄ちゃんが行った時には、完全に私の方へ向き直っていた。
「言ってみろ。」
有無を言わさぬ言葉と、ピリピリとした空気。
目だけで周囲を見れば、みんな動きを止めて私達を見ていた。
(うわ~注目されてる!緊張するよ~!だけど頑張れ私!!)
自分を奮い立たせて言葉をつむいだ。
「その・・・父方の実家に遊びに行こうって言われてるけど、僕嫌なんですよね・・・」
「母ちゃんとばあちゃんの仲が悪いのか?」
「は、はい!すぐ、ケンカになっちゃって。」
「嫁姑問題なんて、そういうもんだ。凛も嫁もらう時は気をつけろよ。」
「はい、気を付けます!」
「で?中年と高齢のケンカの何に、凛は困ってるんだ?」
「ど、どっちが1番好きかって、僕に言わせたいことなんです。」
「あほくせー・・・!!選べるわけねぇじゃねぇか・・・!」
「そうなんです!もうすぐ会う日が来るので、憂鬱になって~どう返事をすればいいかなぁ~と・・・」
目だけ瑞希お兄ちゃんを見れば、ジッと私を見ていた。
無表情で、怒ってるのか、興味ないのか、わからないような顔をしていた。
それでも、私の会話には付き合ってくれた。