彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
(うわぁ~勇気いるな、愛の告白!!それが目的で、龍星軍の4代目総長してるようなものだもんねー・・・!!)
とはいえ、まだ告白するまで、環境は整っていない。
(問題は、私に告白する勇気と、バレても良い覚悟が決まってないだけなんだけど・・・)
あんまり先延ばしにするのはよくないとわかってるけど、ついつい、先延ばしになっちゃうのよね・・・。
(だましてたことを理由に、好きな人に嫌われたらと思うと―――――――――いうタイミングがなぁ・・・・)
どうなんだろうな。
(瑞希お兄ちゃん、私を異性だと、女の子だとわかった時、どう思うのかな・・・?)
「大丈夫か、凛?」
「え?」
ふいに、頭に手がのせられた。
慣れ親しんだ瑞希お兄ちゃんの手のひら。
「あんま、深刻に考えるなよ?」
「あ、ありがとうございます。」
「俺はあんまり経験ないから、うまくアドバイスできねぇけど、いつでも凛の話は聞くからな?」
「瑞希お兄ちゃん・・・!」
「だから、嫁姑問題の愚痴、いつでも話してくれよな!」
「はい!ありがとうございます!我が家の嫁姑問題の愚痴に、お付き合いを――――――
・・・・!?」
って!!?違う違う!!私が聞きたいのは、瑞希お兄ちゃんが自分のおばあちゃんをどう思ってるかでしょう!!?
「よし!景気づけに、なんか飲み物入れてやるよ!寝る前だから――――麦からできた『カッフェ・ドルゾ』にしとくか?」
「お、お兄ちゃんは!!」
「ん?」
「瑞希お兄ちゃんはどうなんです!?」
「なにがだ?」
「ぼ、僕はお母さんもおばあさんも両方好きなんですけど、お母さんよりおばあちゃんのことが好きな気持ちが強めかもしれなくて!瑞希お兄ちゃんも、おばあちゃんの方が大好きだったりしますかっ!?」
バッギン!!
ものすごい音が真横でした。
「瑞希!!」
「みーちゃん!?」
「瑞希、馬鹿者!」
「何やってんだオメーは!!?」
何かが破壊される音に続き、烈司さん達の声がした。
「・・・・いだ・・・!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
「あんな外道、大嫌いだっ!!!」
瑞希お兄ちゃんの罵声に、思考が停止する。
なぜなら、瑞希お兄ちゃんが、私の身体すれすれの場所を、机を、叩き割っていたからだ。
見上げれば、初めて見る怖い顔の瑞希お兄ちゃん。
初めて、瑞希お兄ちゃんの怒った顔にときめかなかった。