彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
涙が止まったところで、モニカちゃんから蒸しタオルを差し出される。
受け取って、目元に当てていれば、烈司さんから言われた。
「凛たん、瑞希に家族の話はNGだ。」
「え?」
「特に―――――――――父親とその祖父母の話はしちゃダメだ。」
「ダメなんですか・・・?」
「「「「ダメ。」」」」
聞き返せば、初代龍星軍が全員、声をそろえてダメ出ししてきた。
「瑞希の問題だから、瑞希が自分の口から言わない限り、俺らが口を出すつもりはない。けど、さっきのでわかっただろう?瑞希にも触れてほしくないことがあるって?」
「・・・・・わかりました。」
わかった。
よくわかった。
嫌というほどわかった。
(瑞希お兄ちゃんは自分の祖母が嫌いなんだ。)
さらに言えば、あの父親と、会ったことのない祖父も嫌いなんだ。
それなのに私は、瑞希お兄ちゃんに瑞希お兄ちゃんの祖母の話をしてしまった。
テーブルに穴を開けるほど嫌いな相手を、大好きなのかと聞いてしまった。
私の言葉で、完全に瑞希お兄ちゃんは怒ってしまった。
怒って部屋に帰っちゃった。
怒って・・・・!!
「僕・・・嫌われたでしょうか・・・・?」
「それはない!今はちょっと、一時的に熱くなっちまってるだけで――――――――しばらくすれば、元に戻る。元に戻るから、大丈夫だ。」
私の疑問を全力で烈司さんが否定する。
「そうよ、凛ちゃん!みーちゃんが凛ちゃんを嫌いになるはずないじゃない!?質問内容が悪かっただけで、凛ちゃんは何も悪くないわ!」
「むしろ、あれしきのことでキレる瑞希が悪い。凛道が気にすることはない。何も知らなかったことゆえ、今回の凛道蓮は無罪だ。」
「わははは!凛助は悪くねぇから、そんなにしょぼくれるんじゃねぇーよ!!いつもみたいにニコニコしてろ!瑞希の方から謝ってくるから、それまで放置だ、放置!!元気出せ!!」
他の先輩方も・・・普段では優しくない人まで、優しく慰めてくれた。
だからこそ、ツライ。
それだけ私は、失態をおかしてしまったのかと思うと――――――――・・・・・!!
(申し訳なさすぎて、死にたくなる・・・!!!)
〔★凛は絶望のどん底にいる★〕