彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「凛ちゃん、手ぇつなごっか♪」
「・・・うん。」
ほぼ、されるがままで手をつなぐ。
階段をのぼっていれば言われた。
「あたしもねー両親祖父母兄弟が大嫌いなの♪」
「え?」
「ほら、あたしってさ~性同一性障害じゃん?時代は令和になってるって言うのに、家族は理解が出来なくてねー変態扱いよ!だからここに住んでるわけ♪」
「・・・そうでしたか・・・。」
「みーちゃんは、母と祖母の両方に良い顔しとけって言ったけど、本当はそんなことしなくていいからね?無理に、世渡り上手にならなくていいの。大事なのは『凛ちゃんの心』だからね?」
「僕の心・・・?」
「そう!だから~みーちゃんがもう言ってそうだけど、凛ちゃんが両親と暮らすのが嫌になったら、いつでもここに来たら良いからね?高校卒業するまで待たなくていいからね?逃げていいから、逃げておいでよ?わかった!?」
「・・・ありがとうございます。」
「凛ちゃん真面目過ぎて、我慢強すぎて心配なのよね~壊れる前に、逃げていらっしゃい。逃げることは決して、悪いことでも間違いでもないから。」
そういうとモニカちゃんは、私をギュッと抱きしめてくれた。
前かがみになって、壊れ物でも扱うかのように優しくハグしてくれた。
その優しさに―――――――――思わず私もがきつく。
瑞希お兄ちゃんを怒らせた不安からギュッとしがみつけば、抱きしめながら、よしよしとあたまをなでてくれた。
「大丈夫よ。あたしも、あたし達も凛ちゃんが大好きよ。みーちゃんも、今は機嫌が悪いだけ。みーちゃんが凛ちゃんを大好きなこと、あたし達が一番よくわかってる。嫌われないって保証するから、泣いちゃやーよ?」
「・・・うん・・・!」
「良い子ね・・・。」
そのまま、しばらくモニカちゃんと抱き合う。
身体は男性なのに、においは女性の香りがした。