無自覚なまま、愛を蓄えて。

言いたいことを全て吐き出した私。


それを見計らって、梓くんはそう言った。



「……任せろって……梓くんに迷惑かけられないし……。それに、お父さんをどうするの?警察に突き出すとか?」



訳の分からないことを梓くんが言うもんだから思わずキョトンとなる。



「お前は迷惑とか考えるの禁止な。もっと俺に素直に甘えろ。それに、俺を誰だと思ってる。……全国でも5本指に入るくらい強い暴走族の総長様だぞ?」



梓くんは私の涙を人差し指で拭うと、にやりと微笑む。


その笑顔は怖くて、美しくて、闇深い。


人差し指に乗った私の涙を、そっと自分の口に寄せると……涙の雫を、ペロッと卑しく、舐めた。


ーードキンッ!



「あ、あ、梓くん!?」


「優星の気持ちも聞けたし、これだと作戦も立てやすいな。俺の大切な優星を傷つけたやつは、みんなぶっつぶしてやる」



……ゾクッ。
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