無自覚なまま、愛を蓄えて。

梓くん、心臓に悪い……。


かっこいいと思ったら、今度は怖くなるんだもん。


おかげで涙、引っ込んじゃったよ……。



「まぁ、お前は黙って俺についてろ。……そしたら、全力で守ってやるからな」


「……梓、くん……ひゃあ!」



梓くんに見惚れていると、急に顔を私の首に伏せてくる。


そして……私の首元に、梓くんの柔らかいくちびるが、当たった。


……ちゅう……とそこだけ強く、吸われる私の首元。私は何が何だか分からなくなってかちこんこちんに固まる。


だけど、首元だけは異常に熱くて。ジンジン、と熱がこもる。



「……はぁ。……これはしるし。優星は誰にも渡さないって言う俺の覚悟と、俺のものというしるしだ。消えたらまた俺のところに来い。新しいのをつけてやる」



ードキン、ドキン……。


色んなことが一気に起こりすぎて頭の中はぐちゃぐちゃ。


だけど心臓は正直で。
< 111 / 242 >

この作品をシェア

pagetop