無自覚なまま、愛を蓄えて。

「……本当に無自覚だな。お前は」


「へ?え?どういうこと!?」



慌てふためく私を見て、ため息をつく梓くん。なんでため息をついているのか分からなくて、頭の中ははてなマークだらけ。


梓くんだけわかってるような雰囲気を出されて、なんかモヤモヤする。



「まぁ、俺から離れるなってことだ。いいな?」


「……う、うん」



そんな私を見て、苦笑い。


そして、私のことを頷かせると梓くんの大きな手が私の手を握る。


ードキッ。


梓くんにはいつも振り回されっぱなしな気がする……。突然私と目が合えばキスをするし、手を握るし……。



「……って、いったい何を思い出してるのよ!」


「うわっ、急になんだよ」



あの夜のことを勝手に思い出して勝手に赤くなる私は重症かもしれない。


こんな私を相手にするなんてきっと遊ばれてるんだなとしか思えないのに。梓くんから感じる、愛情みたいなのはなんなんだろう……。
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