無自覚なまま、愛を蓄えて。

いや、自意識過剰なのはわかる。わかるんだけど!


なんだか大事にされてるみたいで、梓くんといる時間が幸せなんだ。



「ふふ。なんでもないよ。早く行こう?」


「あ?よくわかんねぇやつ」



大きな声を出したあとだからか、突然笑った私を不審な目で見てくる。だけどその事でさえも嬉しくて。


握られた手を、強く握り返した。



「……っ、お、まぇ……」


「ん?」



2人並んで歩く道は、とても幸せな時間が流れていた。


***


太陽が沈み、真っ暗な空が広がる夜。


空を見渡せば、キラキラとひかる無数の星が満ちていた。



「ねぇ、優星ちゃん。お菓子食べる?」


「えっと……今、はいいです……」



ひとつの部屋の隅っこに座る私。そこに、確か千弦くん……だっけ?がお菓子を持って話しかけてくる。


だけどあまりの迫力に押されてしまい、勢いで断ってしまった。
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