無自覚なまま、愛を蓄えて。
そして、目の前からそんな声が聞こえてきてはっと顔を上げる。
どうやら私が突き飛ばしたのは、千弦くんだったらしい。ニコニコと笑いながら私を見る千弦くんが怖い、と思ったのは私だけだろうか。
「ちづ、お前……優星に余計なことすんなっていつも言ってるだろうが!」
「いっだ!!梓くん、今本気で殴ったね!?」
そんな私と千弦くんのやり取りを見ていた梓くんは千弦くんに1発殴られていた。
痛そうにしながら、千弦くんは私を見る。
「ねぇ、梓くんって優星ちゃんにだけ優しいって本当?こんな馬鹿力持った人の優しいとこ、見たことないんだけど……っ、いってぇ!」
「余計なこと言うなっての!」
涙目になりながら何かを話していたけど、また梓くんから1発食らっていた。
ドカッという鈍い音が部屋に響く。
私はポカン、としながらその光景を見ていた。
「……優星、こいつのことは気にするな。それよりも……お前らもこっち見んな!」