無自覚なまま、愛を蓄えて。
静まり返ったこの部屋の中では梓くんと千弦くんの声しか聞こえない。
ハットした時にはみんな、私たちのやり取りを見ていて。
びっくりしているようだった。
「あ、梓くん……私、大丈夫だから……」
何故か怒っている梓くんを宥めながら大丈夫だと言った。本当はまだ大丈夫じゃないけど……。
こうでもしないと、なんか収まらない気がして。
1人で勝手に、バクバクと心臓を騒がせていた。
「……ぶ、あはは!梓、なんかムキになってやがる!」
「千弦のこと、本気で殴ったろ?おもしれー。あの梓が……あの梓が怒った!」
私が声を出した瞬間、みんなが笑い転げていた。