無自覚なまま、愛を蓄えて。

紫苑くんが梓くんに向かって真面目に言った。その言葉にドキッとする私。


梓くんの、大事な人が……私……?



「まぁ、そうだな。軽く説明するか」


「う、うん」



梓くんはまっすぐ私と見つめ合うとソファに座るように促す。私はそっと梓くんの隣に腰を下ろし、目を見て話を聞いた。



「俺ら暴走族の活動は主にふたつある。ひとつは街の見回りと悪質な暴走族を潰すこと。その街の見回りは、夜みんなでバイクに乗って走り回る」



夜にバイクで?


なんだか怖いな……。バイクで走り回ったら街の迷惑にならない?


私のイメージだとあまりいいイメージしかないんだけど……。



「そんな顔をするな。街を走るって言っても暴走するわけじゃない。ただみんなとツーリングするみたいな感じだ。昔と違って大きな音は出さないのがウチのルールだしな」


「そうなんだ」



話を聞いていると、顔に心配していたことが出ていたのか梓くんが説明してくれた。
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