無自覚なまま、愛を蓄えて。
「そして、その暴走が今日の夜なんだが……」
「え!?」
ほっと胸をなで下ろして安心したのもつかの間。
梓くんからとんでもない言葉が聞こえたような気がした。
「その……俺のバイクの後ろに乗ってもらえないか?」
ードキンッ。
「ヒュー!梓くん、かっくいー!」
「ちづ、うるせー。黙れ」
バイクの後ろに乗って欲しいと言われた時。何故か心臓が大きく跳ね上がる。
対して重要なことじゃないと思っていたけどなんだかだんだん責任のようなものを感じて。
頷くのを躊躇った。
「えっと……あの……」
「まー、難しく考えなくてもいーんじゃない?ただバイクの後ろに乗って景色を楽しむだけだし。君のことなら梓がしっかり守ってくれるだろうから」
返事を迷っていると、紫苑くんが背中を押してくれる。
紫苑くんの言葉が胸に刺さり、気づいたら私は頷いていた。