無自覚なまま、愛を蓄えて。

「み、みんないなくなったよ!?」



いつの間にかみんないなくなり、部屋の中で2人きりになる。


静まり返った部屋に、自分の心臓の音が響いていないか心配になるほど静かだった。



「もう少しだけ、このまま……」


「梓くん!?」



私の肩に顔を埋める梓くん。


吐息が肩にかかり、ビクッとなる。突然こんな甘い雰囲気になるなんて聞いてない。


本当に……梓くんは、心臓に悪い人。



「ここ、消えちゃったな」


「ひゃあ!」



ぼーっとしていると、急に私の首元をつついてくる。


そこは確かこの間梓くんにキスマークをつけられた場所……。



「もう1回、俺がつけてやろうか?」



慌てて顔を上げるとにやりと妖艶に笑う梓くん。本気で言ってるのか、からかって言ってるのか分からない声色で、反応に困る。


いや、迷う要素なんて一個もないんだけど……!



「い、いい!遠慮する!彼女でもない人にこんなこと、二度としないようにね!?」
< 126 / 242 >

この作品をシェア

pagetop