無自覚なまま、愛を蓄えて。
なんとかこの緊張感から離れたくて、口にした言葉。
言った後に少しだけ後悔したのはなんでだろうか。私……梓くんのこと、好きなのに。気持ちを伝えられてないのに。
こんな思わせぶりなことしないでよ。
「彼女……になれば、キスマーク、つけてもいいのか?」
「へ?」
しばらくの沈黙の後。
梓くんが唐突につぶやく。
小さい声であまりよく聞こえなかった。もう一度ちゃんと聞きたくて、聞き返したのに。
梓くんはそれ以上何も言わなかった。
「おーい、梓、優星ちゃんー!そろそろ行くぞー!」
2人で見つめあっていると、ドアの向こうから千弦くんに呼ばれた。
そうだ、外にみんなを待たせてるんだった。
「あ、梓くん、行こう?みんな待たせちゃってるから……」
梓くんから離れて、立ち上がろうとする。