無自覚なまま、愛を蓄えて。

言い終わる頃には声なんて聞こえないほど小さくなっていた。



「優星……サンキュ」


「……っ」



顔を熱くさせて下を向いていると、ぽん、と大きな手が私の頭に乗っかる。


最近はよく梓くんに頭を撫でられるなぁ、とドキドキしながら思った。



「あれー?梓くん達、遅くなーい?」



頭を撫でられていると突然千弦くんから話しかけられる。その事に2人してビックリしていた。


梓くんの手が離れていくのに、残念と思ったのは私だけの秘密。



「うるせー。遅くねーっつの!」



ムキになって言い返す梓くんが可愛くて。笑ってしまった。


そして、無事に駐輪場に着いた私たちはそれぞれバイクにまたがる。


私は梓くんの後ろについて行き、ヘルメットを渡した。



「あ、そうだ。今日はヘルメット被る時メガネ外せよ?」


「え?」


「被る時邪魔だろ?夜だし見えないかもだけど、優星の視力でも綺麗なもの見えると思うから」
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