無自覚なまま、愛を蓄えて。
私の視力の悪さを人一倍わかってくれてる梓くん。そこまで言うと梓くんは手を伸ばし、そっと私のメガネをとった。
「いいの?だって、梓くん……メガネ、外すなって……」
「俺と2人きりじゃないときな?今からは2人きり。俺しか優星のこと見ないから大丈夫。それに……俺の背中で顔、隠れるし」
……っ、そう、だった。
梓くんのバイクに乗るということは、梓くんにくっつかなければいけないことで……!またあの時のように密着しなきゃいけないのか!
「あ……う、え……そう、だね!」
今まで散々色んなことされてきたけど密着するのにはまだ慣れない私。
いつもいつも梓くんの言葉に振り回されている。
「じゃ、これ被って乗れよ。今夜を楽しもうぜ」
「……う、……ん」
暗闇でもわかる梓くんのキラキラした笑顔。私は、恥ずかしい気持ちを誤魔化すようにヘルメットを深く被る。
そして、バイクにまたがった。