無自覚なまま、愛を蓄えて。

梓くんの熱をじかに感じながら乗るバイクは本当に心臓に悪い。



「行くぞ!」



梓くんの掛け声とともに走り出すバイク。後ろからみんなのバイクも着いてきて、ひとつの集団になった。


ゴォォォ……という強い風をなびかせながら走るバイク。


夜の街はとてもキラキラと輝いていて綺麗だった。こんなふうに夜の景色を楽しむなんて思わなかったけど。


こんなに幸せな宝物をくれた梓くんに感謝しかない。


思わずぎゅうっと梓くんに握る手に力を込める。私のドキドキ、伝わってるかな。


この気持ち、伝わってて欲しいな……。



「優星、楽しんでるか!?」



風の音と共に梓くんの大きな声が話しかける。


梓くんの声だけは鮮明に聞こえて。


すぐにわかった。



「うん!めちゃくちゃ楽しい!ありがとう!」



私も負けじと大きな声で話した。


本当に、楽しい時間をありがとう。
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