無自覚なまま、愛を蓄えて。
私の声が聞こえたかどうか分からない。
でも、梓くんに伝わった。……ような気がした。
しばらく景色を楽しみながら街を走っていると後ろからひとつのバイクが近づいてくる。
それは、理人くんのもので、私はそっと梓くんの背中に顔を埋めた。
「なぁ、梓!」
「あ?」
「俺たちの後ろを不審なバイクが走ってるぞ!もしかしたらJOKERの奴らかも!!」
ードクッ。
梓くんと理人くんの会話を聞いて、心臓が大きくはねる。
JOKER……今、JOKERって言った?
その言葉にドクドクと心臓が嫌な音を立てる。
「そうだな……とりあえずポイントまで走るか。そっから考える」
理人くんは梓くんのバイクに横付けしながら併走していた。私でも聞こえるくらいの会話だったのでおそらくとんでもないボリュームで話しているのだろう。
「優星、わりぃ。ちょっと寄り道するぞ」