無自覚なまま、愛を蓄えて。
顔を埋めながら、会話を聞いていると梓くんがそう言った。
はっとして顔を上げる。
私……今、どんな顔をしているんだろう。
自分でもよく分からない。恐怖なのか、それとも……。
「わかった……!」
梓くんの言葉に頷き、身を任せる。
すると梓くんはバイクの速度を上げて、どこかに向かいだした。後ろにいたみんなもしっかりとついてくる。
どうか、嫌な予感が当たりませんように。
理人くんの勘違いで終わりますように。
……なんて願いながら走っていたのに。神様は意地悪で。
JOKERがいたというのは、本当だったらしい。
「……ここで大丈夫か。優星、メガネかけろ」
「うん」
街中を走り、梓くんがバイクを止めたのは人気のない林の中。こんなとこ、始めてきた。
夜の林の中はとても不気味で怖くて。
ずっと梓くんの後ろに着いていた。
「千弦の情報だと、面を被ったバイクの集団がいたらしい」