無自覚なまま、愛を蓄えて。
確かにその言葉の意味はよく分からないけどなんとなく……わかった。
「姫って総長の大事な人、一生をかけて守る女のことを言うんだ。おそらくお前はROSEの姫候補。だから、姫になる前に攫っとこうと思ったんだが、まさかここまで鈍感だとはな」
……彼女……。
ROSEの姫って……つまり、梓くんの彼女のことを指すのかな。
姫にそんな意味が込められているとは知らなかった。梓くんの、彼女……。
それじゃあ私は、その候補から外れてるだろう。こんな迷惑でしかない私は、ただの幼なじみどまり。
どんなに梓くんから愛を受けても、素直に受け止めきれないのが、事実だから。
きっと少女漫画のヒロインとかならもっと可愛く甘えたり、困難を乗り越えるのだろう。
だけど……私には、それが出来ない。
「私が、誰かに愛されるなんてありえないよ。姫候補っていうのは、そっちの認識ミスじゃないの?」