無自覚なまま、愛を蓄えて。
小さい声だったけどかろうじて聞き取れて。
奴らという言葉が聞こえた瞬間、ドクンと心臓が跳ね上がる。
もしかして、梓くん……?
「早くねぇか?俺らのアジト、知らねぇだろ?」
「どうやら理人って人が前々から調べていたみたいで。予定よりも早く来そうなんですが、どうしましょう」
……やっぱり、梓くんたちだ。
理人くんの名前が出たから確信を持った。情報屋としても活動してる理人くんは、もしかしたら私が攫われる前にここを突き止めていたのかもしれない。
私は、ゆっくりと起き上がり乱れた服を整える。
心臓はまだドキドキして落ち着かないけど早く梓くんたちと会いたくて。
気持ちが焦っていた。
「はぁ……わかった。今から行くから、下で待ってろ」
「ウスッ」
ボタンを閉めていると、ドアが閉まる音が聞こえた。