無自覚なまま、愛を蓄えて。

「とりあえず縛り付けとくか。誰かロープもってこい」


「ウスッ」



ドアを見つめていると、いつの間にか私の背後に誰かいて腕を後ろに回される。


気づいた時にはもう遅くて、手を振りほどこうとしてもビクともしない。早乙女くんに見られているせいもあって恐怖で体が動かなかった。



「見張っとけ」



腕にロープをぐるぐる巻きにされ、後ろの方に立たされる。


それと同時に、前の扉が勢いよく開く。


ーーバンッ!



「優星!!」


「梓、くん……」



扉が開いたのとほぼ同じ瞬間に梓くんが入ってきて、私の名前を叫ぶ。


梓くんの声に安心して、また涙が溢れた。


緊張も少しばかり解けて足に力が入らなくなる。だけどここで倒れては梓くんに心配をかけるばかりだと思った私は、なんとか耐えた。



「よぉ、ROSE。思ったより早かったなぁ」



そんな私と梓くんを鼻で笑うようにそう言った。
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