無自覚なまま、愛を蓄えて。
私がこの場にいること自体本当に不思議なくらい、現実味を帯びない時間が流れていた。
「それじゃあ、コイツは一体なんなんだ?お前の姫候補の仲間じゃねぇのか?」
「きゃ!」
JOKERの仲間に無理やり前に押し倒され、よろめいてしまう。
「優星っ!」
「おっと。大丈夫かい?優星ちゃん?」
転ぶ……と思って目を瞑ったけど、それを誰かが阻止した。その“誰か”がすぐに声でわかった。
梓くんが手を伸ばそうとしたけど、それを阻止して早乙女くんが私を支えた。
1番近くにいるのが早乙女くんと認識した瞬間、気持ち悪くてすぐに立ち直る。
「そんなに俺の事を嫌わなくてもいいのに。ロープで縛られてるのに、動きは優秀だね」
私の動きを見てケラケラと笑う。
不気味な笑い声が建物内に響く。
「あんなことしたんだから、俺にもっと甘えればいいのに」
「なっ……!」
ひとしきり笑ったあと、梓くんに聞こえるくらいの声の大きさで話す早乙女くん。