無自覚なまま、愛を蓄えて。

梓くんの真剣な言葉にドキッと心臓が跳ね上がる。


……もう、十分だよ。


その思いだけで、十分だよ……。



「よく言った、梓。……つーわけで、俺たちの大事な姫に手を出した罰を今から受けてもらおうか?その仮面剥ぎ取って警察に突き出したるわ!」



り、理人くん……。


梓くんの思いにドキドキしてると、理人くんが急に前に出てきて、パキパキと手を鳴らす。


相変わらず喧嘩をするのが好きみたいで、梓くんよりもノリノリ。


いつも通り過ぎる反応に、ほっとした。



「よっしゃあ!行くぞ、お前らぁ!」


「行くぞー!」



梓くんの合図よりも先に理人くんが戦闘開始の合図を出した。


それに続くように、千弦くんも走り出す。


ノリがいい2人の勢いが先に出てしまい、残りの紫苑くんと玲夢くん、梓くんはポカン、と2人の背中を見送っている。


その数秒後、ハッとしたようにようやく動き出す3人。
< 157 / 242 >

この作品をシェア

pagetop