無自覚なまま、愛を蓄えて。
梓くんの真剣な言葉にドキッと心臓が跳ね上がる。
……もう、十分だよ。
その思いだけで、十分だよ……。
「よく言った、梓。……つーわけで、俺たちの大事な姫に手を出した罰を今から受けてもらおうか?その仮面剥ぎ取って警察に突き出したるわ!」
り、理人くん……。
梓くんの思いにドキドキしてると、理人くんが急に前に出てきて、パキパキと手を鳴らす。
相変わらず喧嘩をするのが好きみたいで、梓くんよりもノリノリ。
いつも通り過ぎる反応に、ほっとした。
「よっしゃあ!行くぞ、お前らぁ!」
「行くぞー!」
梓くんの合図よりも先に理人くんが戦闘開始の合図を出した。
それに続くように、千弦くんも走り出す。
ノリがいい2人の勢いが先に出てしまい、残りの紫苑くんと玲夢くん、梓くんはポカン、と2人の背中を見送っている。
その数秒後、ハッとしたようにようやく動き出す3人。