無自覚なまま、愛を蓄えて。
愛の華【梓side】
優星が、攫われた。
その出来事を理解するのに時間はかからなかった。
1番恐れていたことが起こってしまった。
……どうしよう……全部、俺のせいだ。
俺が優星を暴走に誘ったから。
俺がわがままなせいで優星に怖い思いをさせてしまった。
「……梓……梓!!」
「り、と……」
さらわれていく優星を見つめていたら理人に名前を呼ばれ、ハッと意識を取り戻す。
どうやら頭の中は優星が攫われたという出来事でいっぱいで、周りが見えてなかったらしい。
理人に名前を呼ばれていることに気づかなかった。
真っ暗な林の中、JOKERのバイクが周りを照らす。
「おい、どうすんだよ。優星ちゃん攫われちまったよ!これじゃあ計画と違うじゃねぇか!」
取り乱したのは俺だけかと思ったがどうやら違ったらしい。
ちづはJOKERのバイクを見た後、俺の胸ぐらを掴み責めるように声を出す。