無自覚なまま、愛を蓄えて。

前もそうだった。


俺を見ても何も言わなかったのだから、記憶から消されてる存在だろう。



「梓……？」


「え？うわぁ！」



さて、これからどう話し合おうかと考えてると、勢いよくドアが開く。


そして、優星の親父が顔を出し、俺の胸ぐらを突然掴む。咄嗟のことで避けきれなかった。


まさか、こんなことをされるとは思わなかった。



「お前……どっかで見たことあると思ったらやっぱりそうか。……優星はどこだ。優星を返せ！」


「……お、落ち着いてください！」



俺を揺さぶりながら優星の存在を探そうとする父親を見た時、安心したのは何故だろうか。


……というか、この親父は俺の事を覚えていたのか？