無自覚なまま、愛を蓄えて。

あの優星の父親が、こんなにあっさりと認めるなんて……。


半ば信じられない気持ちはあったが、おそらく本当に心を入れ替えたのだろう。よくよく顔を見てみると前より身なりが整っている。


服装も、髪型も、しっかりと整えていた。


人というのは、短期間でこんなにも変わるものだろうか。



「それで?優星は今どこにいる」


「……おそらく、JOKERのアジトです。場所は把握しているので、一緒に乗り込みますか?」



以前からJOKERのアジトはわかっていた。


理人がJOKERの特徴と現れた場所、時間をパソコンで解析し、アジトの場所を見つけた。



「……もちろんだ。娘を、助けに行くよ。これでも一応喧嘩は強い方だからな」



ニヤリ、と楽しそうに微笑む優星の父親。


その笑顔が怖いと思ったのは俺だけだろうか。娘のことになると、こうも父親は変わるのか。


……恐ろしい。
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