無自覚なまま、愛を蓄えて。
「……そうですか。それでは一緒に行きましょう」
……賭けに、勝った。
そう思ってはいけないとわかっているがそんな気分に陥った。
この話をして逃げるような父親だったらすぐに縁を切れと優星に言っていただろう。
だけど。
父親は、ちゃんと優星のことを考えていた。
優星のことを……愛していた。
***
そこからのことは、よく覚えていない。
気づいたら優星の父親とみんなとJOKERのアジトに着いていた。
思ったより作戦会議が長引いて、助けに行くのに時間はかかってしまったが、これで優星を助けられる。
そう思った……のに。
JOKERは思った以上に人数をはべらせ、武器も容赦なく使う。オマケに、優星も利用されて。
俺は心身共に情けないほどやられてしまっていた。
理人やちづ、紫苑、玲夢も苦戦していて、この戦いは圧倒的に不利だった。
当初の作戦とはだいぶ違った形での戦闘態勢になってしまった。