無自覚なまま、愛を蓄えて。
お父さんから目を離したいのにそれが出来ない。
お父さんが一生懸命何かをしてる姿を見たのなんていつぶりだろうか。
昔は、私のことを愛してくれていた。
私のためならなんだって協力してくれていた。
なのに、いつから、こんなことになってしまったのだろう……。
「優星!悪かったな、迎えに来るの、遅くなって」
「梓くん!?いつの間に!?」
じっとお父さんを見ていたら近くで梓くんの声が聞こえた。
ハッとして顔を上げるとすぐそばに梓くんがいて、私のロープを解いてくれている。
「しっ。早乙女に見つかる前に、ここから離れよう」