無自覚なまま、愛を蓄えて。
囁くような声でそう言われ、慌てて口を塞ぐ。周りを見ると私を見張っていたJOKERの仲間がいなくなっていた。
視線を落として、床を見るとそこには複数人が倒れているのが見える。
思わずギョッとして2度見してしまった。
「……も、もしかして……この人たち、梓くんがやったの……?」
ロープを解いてくれている梓くんに恐る恐る尋ねる。
「ん?ああ、優星のことしか頭になかったから何も考えないで殴ったらこうなった。どいつもこいつも弱っちいな」
「あ、あはは……」
私の顔を見るとニカッと笑う梓くん。
その強さに笑うことしか出来なくなった私はちょっと気まずい。
そう思ったことは隠しておこう。さっきまで倒れていたのにこの復活の速さは尋常ではない。
もしかして、さっきのは演技だったのかな……?
「さぁ、行こう。優星の親父さん、頑張ってるぞ」
梓くんに手を握られ、引っ張ってくれる。