無自覚なまま、愛を蓄えて。

お父さんの口から梓くんの名前が出てきて確信した。


今まで騒がしかった周りが、気づいたらシン、と静まり返っていて、私とお父さんの話し声が辺りに響いた。


ドクン、ドクンと緊張しながらお父さんに抱きしめられている私は一体どんな顔をしているのだろう。



「……優星、大丈夫。俺たちが見てるから」



緊張で固まっていると梓くんが優しくそう囁いた。


私の顔を見て優しく微笑む梓くんはお父さんのことを信じているらしい。


言いたいことはたくさんあったが、何から話していいのかよく分からない。そうこうしているうちに、お父さんが私から離れて私の目を見る。



「優星。今まで……済まなかった。私の上手くいかない人生を、優星のせいにして酷いことをたくさんしてしまった。許して貰えないとわかっているが、謝らせてくれ」


「……おと、う……さん……?」



あのお父さんが、私に誤っている……?
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