無自覚なまま、愛を蓄えて。

見つめ合いながら、ちゃんと話をしている……?


一体、どういうことなのだろうか……?


お父さんと話ができて嬉しいはずなのに頭が上手く回らない。


お父さんとどうやって話をしていたんだっけ?


離れている時間が長すぎて、お父さんとの接し方を忘れてしまった。



「優星。これからは優星の将来とか、今までのことをしっかりと考えながら生きていこうと思ってる。……だから、どうか、私の元へ戻ってきてくれないだろうか?」



私の手を握りながら、肩を震わせている。


突然のことで信じきれない私を目を泳がせる。



「優星。お前の親父さんのこと、信じてやってくれないか?俺は親父さんが更生することを信じられるって思えたよ」


「梓くん……」



どう返事をしようかと考えていると梓くんが私の横でそう言った。


梓くんが、私のお父さんを信じると言っている。この間酷いことをされたばかりなのに。
< 181 / 242 >

この作品をシェア

pagetop