無自覚なまま、愛を蓄えて。
梓くんは、それでいいの……?
「だから、優星も……」
「……何勝手に話をしてんだ!戦いは終わってねぇよ!」
梓くんが何かを言いかけた時。
誰も起きていないと思っていたこの空間から、声が聞こえた。ハッとして顔を向けるとお父さんの後ろに、早乙女くんが立っていた。
鉄パイプを握りしめ、お父さんにふりかざそうとしていた。
「お父さん……!」
「そうはさせないよ」
「……うがぁ!!」
お父さんの身の危険を感じた私は思わず叫ぶ。
だけど、それを見た梓くんが素早く前に出て、早乙女くんに一撃を食らわせた。
一瞬にして気絶した早乙女くん。
その圧倒的速さに驚きながら、目をぱちくりさせる。
……その時、気付いた。
早乙女くんしか見えていなかったからその時は気づかなかったけど、私はまたお父さんに抱きしめられていた。
お父さんの温もりを感じながら、早乙女くんの倒れる様子を見ていた。