無自覚なまま、愛を蓄えて。

「……優星のことはこれから一生をかけて守る。だから……どうか、信じてくれ」



ぎゅうっと、強く、優しく抱きしめられた。


その強さに優しさを感じて、自然と手がお父さんの背中に回る。大きな背中にそっと腕を回し、力を込める。


……私……お父さんに、嫌われてるかと思っていた。


でも、違った。


お父さんはちゃんと私のことを愛してくれていた。守ってくれた。


それだけで十分伝わったよ。


……ありがとう、お父さん。



「な?優星の親父さんは、大丈夫」



そんな私とお父さんを見た梓くんはほっとしたように笑う。


その笑顔を見て、目の周りが熱くなり、涙が溢れる。


ずっとお父さんに愛されていないと思っていたのに。こうして、また話し合って愛を見つめる日が来るなんて。


これも全部、梓くんのおかげだ。



「う、ん。私……お父さんを信じる。だから……これからも、お父さんの娘でいさせてください」
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