無自覚なまま、愛を蓄えて。
「警察に引き渡すことが俺たちの目的でしたからね。俺の仲間はもうここにはいないみたいなので急ぎましょう」
そう言われ、当たりを見渡すと確かにここにはROSEのみんなはいなかった。
変わりに、JOKERの仲間が床に倒れ込んでいて酷い状態だった。
「優星。後で暴走の続きをしよう。みんな待ってる」
「……うん。ありがとう、梓くん」
梓くんに促されるがまま、JOKERのアジトを3人で後にする。
お父さんから見えないところで梓くんがコソッと私に耳打ちしてきた。
その事にドキッとしながら、梓くんにお礼を言った。ドキドキを誤魔化しながら、梓くんの手をそっと握る。
「優星……?」
「梓くんがいなかったら、お父さんと仲直りできなかったよ。だから……本当にありがとう」