無自覚なまま、愛を蓄えて。

これが、今伝えられる私の精一杯のお礼の言葉。


梓くんがいなかったら、私はどうなっていたのか分からない。おそらくまだお父さんの言いなりになって生活していただろう。


それが、梓くんがいるだけで変わってしまった。


お父さんと話し合いをすることが出来て、たくさんの愛を知ることが出来て。


私は今、人生で1番幸せな時間を過ごしている。



「そんなの、優星と優星の親父さんがお互いに歩み寄ったからで、俺は何もしてないよ。少しばかり仲直りのお手伝いをしたまで」



そう言ってニカッと笑う梓くん。


その笑顔が眩しくて、登り始めた太陽に照らされていた。


私、やっぱり……梓くんのことが好き。


梓くんのそばにずっといたい。


自分の気持ちを再確認させるような笑顔でもあった。



「ありがとう、梓くん」



気づいたら熱くなる頬。


それはきっと梓くんのせいだ。
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