無自覚なまま、愛を蓄えて。
梓くんに、恋をしているから。
「梓くん……」
「優星。忘れないで。俺はいつでも優星の味方だから。いつでも頼れよ」
無意識に口を開き、梓くんの名前を呼んでいた。だけど、それを遮るかのように梓くんが話しかける。
私の声は、その頼もしい言葉と共に消えていった。
私……今、なんて言おうとしていた?
恥ずかしいやら混乱しているやらで私の思考回路はあまり良くない方向に走っていたらしい。
「ん?なんか言ったか?」
「な、何も無い!」
私の反応を見て首を傾げる梓くん。
気持ちを誤魔化すように、顔を下に向け視線をそらす。
私……きっと、梓くんに告白しようとしていたんだ。梓くんへの気持ちが溢れて仕方なくなって。
ここで言ってはいけない言葉を口にしようとしたんだ。
「優星?」
「…………」
優しく名前を呼ぶ声に。
甘く反応してしまう私は。