無自覚なまま、愛を蓄えて。
優星は困ったような反応をしてばかりだったがここぞとばかりに俺なりに愛を伝えてきたつもりだ。
俺はこんなにも優星のことが好きなんだと、分からせるために理性が飛ぶ1歩手前まで頑張った。
この気持ちが優星に響いたか分からないが、俺としてはとても満足していた。
……はずだった。
気持ち的にはまだ余裕はあるが、優星が1晩いないだけで寂しいと感じた。
俺は、優星が欲しい。
優星のこと、全部欲しい。
そう思うまで気持ちが膨れ上がっていた。
「……はぁ」
ため息をつきながら、部屋を出る。
リビングにいる両親に挨拶はしないまま、学校へ向かった。優星のおかげで少しは話すようになったのに。
何もかも、元通りになってしまった。
学校に近づくにつれ、同じ制服を着た生徒がちらほらと見える。そして、その生徒たちから痛いほど視線を感じた。
「ねぇ見て!今日も冷酷プリンス様がいる!かっこいい♡」