無自覚なまま、愛を蓄えて。
道の端を歩いていたつもりだったがそんな声が聞こえる。
その声を聞いて俺はまたため息を着いた。
……こっち見んな。
内心そう叫びたい気持ちでいっぱいだった。だけどこれは自分でまいた種。
こうなることには慣れているはずなのに。
今日はいつも以上に視線を感じる。
「よぉ、梓」
「……うわっ。なんだ、お前かよ」
ぼーっと下を見ながら歩いていると突然後ろから背中を叩かれる。
聞き覚えのある声に後ろを振り向くとそこには真面目に制服を着こなした理人がいた。
「なんだよ、朝から辛気臭い顔して。優星ちゃんにでも振られたか?」
理人のその物言いにイラッとする。
つーか、その呼び捨てやめろよな。みんなもだが、優星に懐きすぎでは無いか。
真面目な格好をしているのに人をいじるのが好きな理人。俺の顔を見るとその憎たらしい顔でニヤニヤと笑っている。