無自覚なまま、愛を蓄えて。
「そんなんじゃねーよ。つーか、優星を呼び捨てすんな」
「うおっ。こえーよ。独占欲丸出しじゃねーか」
ムキになって返したのが悪かったのか、理人はさらに笑いながら俺の肩を叩く。
いつもより周りの視線が痛かったのは近くに理人がいたからか。
学校ではあまり会わないから俺との組み合わせが珍しいのだろう。
「……別に」
理人と並んで歩く道はなんだか長く感じた。
「おいおい、まじになるなよ。ちょっとからかっただけだから。何?喧嘩でもした?」
ひとしきり楽しんだ後、そう聞いてくる理人を怖いと思ったのは秘密にしておこう。
コイツ、人の話とか上げて落とすタイプだからな。相談してもまともな返事が来ないのは分かりきっていた。
「喧嘩してねぇよ。優星とは仲良いままだ」
「じゃあなんなんだよ。このまま辛気臭い顔しながら学校行くとちづ達にからかわれるだけだぞ?」